※この感想は小説版(Kindle)のものです。管理人は既に完結しているWeb版は読んでません。
なお、ネタバレしているので未読の方は先に読んでからご覧ください。
転生したらスライムだった件2の感想をまとめます。
私はこの時点で13巻まで読んでいますが、1巻から読み返しながら書いています。
- 序章 怨嗟の産声
- 第一章 騒乱の始まり
- 第二章 進化と職業
- 第三章 使者と会議
- 第四章 狂いゆく歯車
- 第五章 大激突
- 第六章 全てを喰らう者
- 第七章 ジュラの森大同盟
- 終章 安らぎの場所
- <まとめの感想>
序章 怨嗟の産声
2巻はオークロードとの戦いがメインとなりますが、この章ではオークの王(後のオークロード)の苦難が書かれています。
オークロード率いるオーク達は生き残るため森に住む多くの魔物を殺害し、喰らうことになりますが、それも苦渋の決断でした。
事情があるからといって、被害者からすれば簡単に許せる話ではなく、戦争ってこうやって起きることもあるんだな、と思わせる悲しい話になっています。
なお、このオークロードは元々は人格者ではありましたが、転スラ全巻を通じて、恵まれない人ランキングトップ3に入ると思います。周囲の者が笑ったところを見たことがないと言うほど苦難の人生でした。シズさん以上に気の毒でした。
第一章 騒乱の始まり
今後、リムルにとって最重要な配下となるオーガとの戦いがメインの章です。
事情が事情とはいえ、リムルの話を聞かず、一方的に攻撃を仕掛けるオーガ達には読んでて正直苛つきました。
しかし、そこはさすがリムル。
圧倒的戦力差を誇示した上で、最終的にオーガ達を殺さずに説得に成功しました。
自分を倒しに来た相手に対し、戦いの後は傷を回復薬で治してやり、村へ招いて食事も振る舞うなんて、恐ろしいぐらいの懐の深さです。
さすがリムル。
強さも魅力ですが人間的にもビッグです。
第二章 進化と職業
村に招いたオーガ達の話を聞くリムル。
オーガ達は復讐のために死ぬ気でオークに挑むとのことですが、これをとめるため、リムルはオーガ達を庇護することにします。
リムルからすれば村の戦力増強のメリットがあるとはいえ、これは明らかな温情です。
しかも、森の上位存在であるオーガ達のプライドを傷つけぬよう、契約という名目で部下となることを了承させます。さすがリムル。強いだけでなく心の機微を理解する男!
挙げ句の果てに、オーガ達に名付けをして大パワーアップさせます。
ここまでやるか?というぐらいの大サービスです。
結果、オーガ改め鬼人達はリムルに形だけでなく本物の忠誠を誓います。そりゃ、そこまでしてくれたら誰だってそうしたくなるでしょう。
第三章 使者と会議
リムルからすれば遙かに格下であるガビルが、何を勘違いしたかリムル達に配下になるように上から目線で通告するシーンには失笑ですが、さすがはリムル!
周囲の鬼人達がキレてガビルを殺しかねないところ、リムルはギリギリキレずにガビルに対応します。ここは多くの理不尽を体験した元サラリーマンの忍耐力が生きてるようです。
しかし、ますます調子に乗るガビル。もう殺されても仕方ないな、と思わせますが、結局この緊迫した場を救ったのはコメディリリーフ・ゴブタ。
格上とも思われるガビルをまさかの瞬殺(殺してないけど)。
無事この場をおさめました。
それにしてもガビル馬鹿すぎ!
しかし、意外にもガビルの評価はここが底で、次巻以降は評価が上昇し続けるおいしいキャラです。
さて、ガビルにはうんざりしたリムルですが、リザードマンとの同盟を決断します。
オークロードの出現で事態が思ったより深刻であること、さらにはリムル軍はまだ数が少ないことが理由です。
リムル同盟を結ぶ際、こちらの数が少ないことから舐められることを危惧していますが、鬼人達は逆にリザードマンを舐めているようです。
ソウエイが使者としてリザードマンの首領のもとへ赴きましたが、はじめから上から目線でした。温情で同盟を結んでやる、という偉そうなソウエイに対し、ソウエイの隔絶した実力を察知したリザードマンの首領は怒るどころか、同盟を受け入れました。ガビルが首領だったら怒って同盟の交渉は決裂したでしょうが、冷静な首領のおかげでリザードマンは救われました。
リムルからすれば同盟は打算があって申し込んだわけですが、結局はリザードマンを一方的に助けることになり、後に大いに感謝されることになります。
ソウエイはこうなることを予測し、同盟をリムルの温情と考えたのでしょう。
第四章 狂いゆく歯車
リザードマンとオークの戦いが始まっています。
オークの方が優勢ですが、リザードマンも粘っています。
このままいけば、同盟成立の期日までは持ちそうでしたが、馬鹿ガビルがやらかします。
クーデターを起こして首領の座を奪い、積極策で打って出た結果、裏目に出て窮地に陥ります。
こんな奴もう死んでいいよ、と思いましたが、この後、ガビルの勇敢さ、指揮能力、そして最後の意地を見せられると、やっぱ死ぬのは惜しいキャラだな、と思わせます。
結局、そんなガビルの様子を見ていたリムルが温情をかけてガビルをゴブタに救わせました。
第五章 大激突
この章では鬼人勢が大活躍しますが、個人的に印象的だったのがソウエイです。
彼は無口ですし、心理描写も少ないキャラですが、ここでは彼の心情の一端が明かされています。
鬼人達のリーダーは一応ベニマルですが、同年代のソウエイとしては主ではなくライバルとみなしていたこと。
オークに里を滅ぼされるまでは平和すぎて自分の磨いた技術が使えず不満だったこと。
そんなソウエイに戦う機会を作ってくれた新たなる主リムルへの想い。
「命令される事こそ、至上の快楽」
なんというか、ある意味危険な台詞ですが、ソウエイなら様になりますね。
そして、ベニマル、シオン、ハクロウも最前線で戦う機会を作ってくれたリムルに感謝しています。
本当に鬼人は戦闘が好きなようです。悟空やベジータのようなサイヤ人を思い起こさせます。
結局、鬼人勢はオーク軍を無双します。一人だけでも20万人を倒せるんじゃないか?というぐらいの活躍っぷりでした。
第六章 全てを喰らう者
オーク軍が鬼人などに蹴散らされて、いよいよオークロードのお出ましかと思いきや、その前に魔人ゲルミュッドが登場します。
ガビルの大概でしたが、それより遙かにしょっぱいのがゲルミュッドです。
こいつは自己評価と実際の実力の乖離(つまりうぬぼれ)が全キャラの中でNo.1じゃないかと思われる滑稽なキャラです(No.2は多分クレイマン)。
転スラのキャラは、悪役でもどこか見所があったり、最後に意地を見せたりすることが多いですが、ゲルミュッドに関しては全くいいところがなく最低の人格にふさわしい最低の死に方をしました。あと、名前が覚えにくいのもマイナス評価。
その後、ゲルミュッドを喰らって進化した豚頭魔王との対決は見物でした。
転スラって、基本リムルつえー、を楽しむ小説で、バトルではリムル、あるいはその配下が圧勝することが多いのですが、豚頭魔王との戦いは死闘になりました。
勝負の決め手はユニークスキルの性能差でした。
最後は互いに食い合う戦いになりましたが、その状況では豚頭魔王の腐食者よりリムルの捕食者の方がわずかに優秀でした。おそらく、リムルも捕食者がなければ豚頭魔王に勝てなかったでしょう。それぐらい強い相手でした。
同胞の命運を背負った豚頭魔王の戦う姿には悲壮感が漂っており、最終的にリムルが勝ってほっとしたものの、豚頭魔王の心境や立場を思うと複雑な気持ちになりました。
しかし、最後に救いが。
豚頭魔王は死ぬことになりますが、リムルは彼の背負った罪を引き受けることを約束。安心して死ぬことができました。
死ぬには惜しいキャラでしたが、彼のような辛すぎる人生を送った人には死ぬことの方が救いだったかもしれません。
ところで、もし豚頭魔王がリムルに勝利していたらどうなっていたか?
リムルや鬼人達を喰らってさらなるパワーアップを果たし、森の守護者たるドライアドをも打ち破り、ジュラの森の覇者となったでしょう。
ただ、リムルの考えとは違い、多種族間で共存するのではなく、オークだけが栄えることになると思います。オークは数が多すぎるので。
そして、クレイマン、ミリム、カリオンの後ろ盾を得て魔王として名乗ることを許されたでしょう。
ただ、結局はクレイマンにいいように使われ、他の魔王の怒りを買っていたクレイマンとともに滅びることになるでしょう。
困窮し、ゲルミュッドに縋った時点で命運は決まっていた、そう思います。
第七章 ジュラの森大同盟
この章の見せ場はリムルの大岡裁きです。
森の他種族に多大な被害を与えたオーク達の罪は問わない。
それは、オークの罪を引き受けるという豚頭魔王との約束でした。
豚頭魔王は亡くなっていますし、そんな約束反故にしても非難されることもないのですが、リムルは義理を守ります。
続けて、オークを森に受け入れる方針を示し、さらにはそれを契機として森の他種族間で相互協力関係を築く「ジュラの森大同盟」案が発表されます。
それにしても、オークを許し、受け入れる度量の大きさ、さらには周囲を巻き込み国を作ってしまう構想力・政治力、さすがはリムル!元は一介のサラリーマンとは思えません。
全然偉そうじゃないけど、自然と上に立ってしまう人格、さすがリムル!元は童貞とは思えません。
終章 安らぎの場所
戦いが終わり、町に平穏が戻ってきました。
オークやリムルを頼ってきたゴブリンを受け入れ、町の人口は1万を超え、町としての体裁も整ってきました。
町の発展の様子も、転スラの読み応えの一つですね。
さて、これで2巻は終了ですが、ここでリムルとその仲間達の勢力を分析してみます。
まず、リムルですが、元々Aランクの魔物でしたが、イフリート、シズさん、豚頭魔王を取り込むことで飛躍的に強くなりました。
後ろ盾さえあれば魔王を名乗れるぐらいの強さになっているはずです。
とはいえ、現時点ではこの世界でリムルより強い魔物・人間は数十人はいるので、ここで調子に乗って周囲の国へちょっかいを出すと死にます。
配下の数も激増しました。
ほぼ全員に名付けを行っているので強さも知能も忠誠心も優れた魔物ばかりです。
戦力も凄いですが、カイジン、ドワーフ3兄弟、シュナなどのおかげで文化レベルも急激に上がっている点も見逃せません。
とはいえ、この巻で目立つのはやはり鬼人達などの戦闘力です。
ベニマル、ハクロウ、シオン、ソウエイ、ランガは引くぐらい強かったですね。
この巻での活躍を見たジュラの森の戦闘力ランキングは
リムル>トレイニー>ベニマル>シオン>ハクロウ>ソウエイ>ランガ>ゲルド、(以上がAランク)
ぐらいだと思うのですがどうでしょうか(一対一の戦いならハクロウがリムルの次に来るかもしれません)。
<まとめの感想>
2巻は1巻にも増して「さすがリムル!」を連発してしまいました。
バトルも面白かったですが、特に仲間を増やす過程が素晴らしかったですね。
力で屈服させるのではなく、対話と持ち前の面倒見の良さで、オーガ、リザードマン、オークと様々な種族を仲間にし、自然なかたちで彼らの上に立ってしまうリムルはトレイニーさんが言うようまさに「魔物を統べる者」。カリスマとしか言いようがありません。
やはり、さすがリムル!でしたね。