転生したらスライムだった件 個人的感想ブログ

転スラ(転生したらスライムだった件)の感想を書いている個人ブログです。なお、既に完結しているWeb版は読んでません。小説版の感想です。ネタバレしているので本編を読んでから感想を読んでください。

転スラ3巻(小説版)の感想 仲間をつくる、それがリムルの最大のスキル

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※この感想は小説版(Kindle)のものです。管理人は既に完結しているWeb版は読んでません。
なお、ネタバレしているので未読の方は先に読んでからご覧ください。

小説版転生したらスライムだった件3の感想をまとめます。
私はこの時点で13巻まで読んでいますが、1巻から読み返しながら書いています。

…まず初めに言わなければなるまい。表紙絵のミリム。
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脇腹にこぼれた蜂蜜が一瞬乳首に見えて二度見した。いや、見えるでしょ!
健全な青少年が読む小説なのに、そんなわけあるわけないのですが、もうちょっと下に書いた方が誤解がなかったかと思います。

序章 魔王会談

魔王が4人登場します。
クレイマン、カリオン、フレイ、そして本巻の主人公的存在であるミリムです。

オークロードと新たに出現した上位魔人(リムル達)について話し合っています。
ただし、頭に描く思惑は4者4様でした。

クレイマン→カリオン、ミリムに恩を売りたい。できればフレイにも。

カリオン→力のある魔人をスカウトしたい

フレイ→3人の話に興味はないが、魔人達を利用してミリムにカリュブディスを始末させたい。

ミリム→面白そう。クレイマン達に楽しみを邪魔させたくない。

この先、この4人の思惑が交差して物語が進みます。

第一章 国の名前

ガゼルの動向と、リムルの町の発展の様子が書かれています。
また、ガビル達リザードマンも配下に加わり、リムルが名付けを行った結果、全員リザードマンの上位種族であるドラゴニュートに進化します。
それにより、大幅にパワーアップし、ガビルはAクラスに達します。
ガビルは抜けたところはありますが、実は文武ともに有能な魔物です。そんな二面性を持つガビルは個人的にも好きなキャラです。

ペガサスナイトを引き連れたガゼルの来襲。
公人ではなく私人の立場で来たとか、日本の政治家の靖国参拝みたいですね。
そして、リムルとの一騎打ち。

剣だけの勝負なので剣聖といわれるガゼルが圧倒的に有利です。
スキルを全て駆使すればリムルも勝てるかもしれませんが、配下の者が大勢見守るなか、品格のない勝ち方はできません。
負けたりズルして勝ったりすると、ジュラの森の盟主としての信頼が揺らぎかねず、これはある意味命がけの死闘よりもプレッシャーがかかるかもしれない戦いです。

しかし結局、真っ向勝負でガゼルの連撃を防ぎきり、ガゼルに負けを認めさせます。
これはガゼルの技をたまたま知っていたという運の要素が大きく、紙一重の勝利でしたがそれも実力ですね。

もし、ここでガゼルに負けていたらどうなったか?
ガゼルも本気ではないですし、リムルの回復力があれば死ぬことはなかったでしょう。

ただし、リムルに恥をかかせたガゼルを鬼人達は許さないに違いありません。

ガゼルに襲いかかる鬼人を阻止するためにペガサスナイトも参戦して、混戦になります。
回復薬があるので死傷者は出なくても、相互に不信感を持ち、リムル達とドワルゴンは誼を結ぶことはなかったでしょう。
そう考えると、リムルの勝利は今後の展開において大きな意味を持ちます。

戦いの後は、今後定番となる宴のシーン。
リムルは食べ物にもうるさいですが、酒にもこだわりが強いようです。今後も様々な酒の開発に情熱を注ぎ、ガゼルや魔王達をうならせる品質にまで高めます。
また、転スラには酒豪キャラは多いですが、下戸キャラはいなかったように思います。多分、伏瀬先生はかなりの酒好きなんだろうな、と思います。

一戦交え、宴で交流を深めた結果、リムルとガゼルは盟約を結びます。
盟約といっても出来たばかりのジュラの森大同盟よりドワルゴンの方が遙かに格上であり、対等の条件ではありません。しかし、双方に利のある盟約です。ドワルゴンの軍事力と信用の後ろ盾を得る代わりに、リムル達も何かしらの対価を払うという、いわば日米安保条約のような盟約ですね。

そしてその流れで国名が決まります。ジュラ・テンペスト連邦国の誕生です。

なお、連邦国とは知恵蔵によれは以下の通りです。

複数の政治単位(共和国、自治共和国、州など)が連邦憲法などによって法的・政治的に結合し、対内的には各単位が自治権と独自の統治構造を維持しながら、対外的には統一国家を形成する状態、あるいは、そのような国家形態。スイス、ベルギー、ロシア、米国、カナダ、マレーシアなどが例。

リムルの力があれば森の全てを支配する絶対王権を打ち立てることもできたでしょう。しかし、リムルの性格からして現状維持というか、種族の権利や既得権益を認める方がラクだし、上手くいくだろうと連邦制を選んだのでしょう。

第二章 魔王襲来

いよいよ、本巻の主人公、ミリムの登場です。
ガゼル、オークディザスターなど多くの強敵と相まみえてききましたが、ミリムとは実力差がありすぎて勝負を挑む気にもならなかったリムル。しかし、配下の鬼人などの暴走により、仕方なく戦うはめに。

戦いと言っても一瞬でこの勝負は決しました。しかし、この戦いは個人的には全巻通してのリムルのベストバウトだと思います。
最強魔王相手に、武力ではなく、知謀と文化力で渡り合い、屈服させました。これぞ、前世の知識を持つ転生者の真骨頂ですね。

しかも、負けを認めさせるだけでなく、友達になりました。前世の知識だけでなく、このコミュ力と人間的魅力もリムルのチートなところです。

ところで、ミリムがテンペストへ赴く際、二人の魔王に根回ししたとあります。ミリムでさえ気を遣わなければならない、この二人の魔王とは誰なのか?
一人はミリムに比して互角以上の実力を持つ魔王ギィ=クリムゾンであることは間違いないでしょう。
しかし、あと一人ははっきり分かりません。ギィの他、魔王の中でミリム以上の実力者は見当たりません。
では、強さに関係なく、ミリムに対しはっきりものが言える魔王となると、ラミリスか?
ミリムはクレイマンなど若手の魔王は舐めていますし、ダグリュール、ルミナス、ディーノに対しても特に気を遣うとは思えません。ということで、ラミリスに決まり?です。

さて、実質的にリムルの勝利に終わった戦いですが、町へ帰る途中のミリムとの会話も興味深い。
ミリムはリムルに魔王になる気がないのか尋ねますが、リムルはあっさり否定。ミリムの価値観が揺らぎます。
魔王になるとどんないいことがあるか。ミリムが考えるのは以下の2点。

●魔王になると強い奴が向こうから喧嘩を売ってくる
●魔人や人間に対して威張れる

なにそれ?昭和の番長かよ!と突っ込みを入れたくなるほどのしょーもなさです。
この世界でも長く生きてれば人格的に成長するということでもなさそうです。前世でサラリーマンやってリムルの方がよっぽど人生観は深いですね。

あと、友達、というワードに弱いのもミリムの特徴です。これはヴェルドラと印象がダブります。長命でしかも強すぎるというのもいいことばかりではなく、孤独につながるし、考え物です。

結局、テンペストに住むことになったミリム。ガビルを半殺しにしたり、テンペストの食のレベルに驚愕したり、テンペストにやってきた使者をいきなり殴るなど、さまざまな旋風を巻き起こします。

その殴られた使者は魔王カリオンの重臣であるフォビオ。
これはリムルも言ってますが、使者としてフォビオのような脳筋を送り込んできたのは大失敗でした。
あるいは、カリオンは力ずくでテンペストを従えようとして、配下でも最強クラスのフォビオを送り込んだのかもしれませんが、強いと言ってもミリムどころかリムルにすら及ばないくらいなので、やはり人選を誤ったとしか言えません。

フォビオは戦う意思のない他国の重臣(リグルド)をいきなり殴っています。これは戦争を仕掛けたも同然なので、ここで殺されてもカリオンは文句を言えなかったでしょう。まして目の前の相手はミリム。

リムルの問いかけにも悪態をつくフォビオ。殺さぬまでも、もう一発ぐらいミリムに殴られてもよかったと個人的には思います。ただ、リムルとの会話中、ずっとミリムにびびりつづけ、最後に「きっと後悔させてやる」小物っぽい台詞を残して去って行ったのは失笑でした。

第三章 集う者達

ファルムス王国の動向です。
ヨウムが初登場します。

次はブルムンドのフューズやエレン達の動向。

正直、テンペストを取り巻く人間達の話は、物語上必要だとしても、人間関係や置かれた状況が複雑なこともあって読んでて疲れます。転スラはリムルやその仲間の活躍にスカッとする小説なので、だるい人間パートは斜め読みです。

第四章 忍び寄る悪意

クレイマンのパート。
胸くそ悪い野郎ですが、ティアに対する態度には少し和みます。
作中、クレイマンは最も性格の悪い人物の一人ですが、本当に大切に想う友人がいる、というその一点で、まだ心の底までは腐ってないのかな、と思わせます。

その後、ティアとフットマンがフォビオをそそのかして、カリュブディスを復活させます。これはティアやフットマンが悪いと言うより、あからさまな誘いに乗ったフォビオが愚かすぎました。

第五章 暴風大妖渦(カリュブディス)

対カリュブディスの戦いについて作戦を練るリムル達。
しかし、そんなのミリムに任せれば楽勝じゃん?と誰しもが思うこと。
ミリムとは親友なので頼めば必ず倒してくれるはず。当然、リムル達の犠牲は0。

リムルもそう考えたのですが、シオンとシュナに説得され、自分達で戦うことを選択します。
リムル配下の魔物達は自分達で作った町を自分で守りたいようです。誇り高く立派なことですが、相手は魔王クラスの超強敵。戦えば無傷で済むわけがありません。そんな状況で犠牲0で危機がしのげるならミリムに頼る、という選択も悪くないと個人的には思うのですが、そこは人間と魔物の価値観の差なのでしょうか。

というか、ここでミリムがあっさり倒してしまったら、物語として全然盛り上がらないですよね。
転スラに限らず、主人公より圧倒的に強いキャラは、無敵感・爽快感があって見てて気持ちいいですが、下手をすると物語のバランスを崩しかねないので扱いが難しいですよね。。

結局リムル達は総力戦でカリュブディスに挑みますが、犠牲者はいないものの3割程度のダメージを与えるのが精一杯と、かなり苦戦します。
しかし、カリュブディスの依り代がフォビオであり、目的はミリムであることが判明し、バトンタッチ。
最終的にはミリムがカリュブディスを倒します。しかも一撃で!しかもリムルのお願いどおりフォビオを生かして。

その後、フォビオを治し、カリオンに引き渡してカリュブディス戦は終了。
めでたしめでたし。

しかし、やはりこれならはじめっからミリムに任せておけばよかったのに、とちょっとだけ思います。

ただ、今回リムル達が途中まで自分で戦ったことも十分意味がありました。

●リムル配下の者は戦闘好きが多いので戦う機会を失えば残念がったはず
●強敵と戦うことで良い戦闘訓練になった
●初めからミリムを頼っていては今後対等の関係を維持できなくなる可能性があった
●カリュブディスから魔力妨害などのスキルを得ることが出来た
●戦う中でカリュブディスの依り代がフォビオと判明し、助けることができた。
●その結果、魔王カリオンと誼ができた。

結局、回復薬のおかげで犠牲者もでなかったので、これはもう100点満点以上ですね。
過去最大のピンチではありましたが、災い転じて福と成す、という結果になりました。さすがリムル!

終章 新たなる策謀

カリュブディスとの戦いが終わり、リムル達はミリム相手に修行の日々を送っていましたが、ある日ミリムは突然町を去ります。
ミリムが町に来てから多くの騒動がありましたが、一旦それも終了です。祭りの後みたいでちょっとしんみりですね。。

その後、クレイマンとフレイの会話があって3巻終了です。

クレイマンの独白に「あの方」が初めて出てきました。
どうでもいいけど、裏番長みたいですね。

そしてフレイ。
悪党ではないのですが、油断ならない人物です。無駄にセクシーなのは好印象ですが、個人的にはミリムやカリオンの方が裏表がなくて好きなキャラです。

<まとめの感想>

表紙絵の通り、ミリムが主役の巻でした。
2巻まででリムルが急激に強くなり、もう最強なんじゃないの、と思うぐらいでしたが、本当の最強は格が違いました。

ただ、リムルが凄いのは、そんな最強魔王と親友になったことです。これは最強になるより難しいことかもしれません。

力関係が物を言うこの世界で、少なくとも自分の十倍以上強い相手と対等の友人になることはかなり困難だと思われます。
しかし、リムルは戦闘力ではなく、衣食住の文化の力でミリムの興味を引き、認めさせることができました。それが出来るのはこの世界ではリムルだけでしょう。

ミリムの他、この巻でガゼル、ブルムンド王国のフューズ、ファルムス王国のヨウムなどとも誼を結びました。
この仲間を作る能力こそが、大賢者や暴食者を差し置き、リムル最大のスキルなのだと感じました。